高校生、詩を吟じ舞う。 「かがわ総文祭2025」吟詠剣詩舞部門に密着
みなさん、「文化部のインターハイ」とも呼ばれる大会を知っていますか?
その名も「全国高校総合文化祭」。略して、「総文祭(そうぶんさい)」と言います。
都道府県を代表する高校生たちが集い、日ごろの成果を発表する文化芸術の祭典で、1977年から毎年開催されています。
その総文祭が2025年7月に、香川県で34年ぶりに開催されるんです!
題して「かがわ総文祭2025」。
このnoteでは、「かがわ総文祭2025」で行われる23部門の中から、特色のある部門を紹介していきます。
初回は吟詠剣詩舞(ぎんえいけんしぶ)。
「吟詠(ぎんえい)」「剣舞(けんぶ)」「詩舞(しぶ)」に懸ける、県内の高校生たちを取材しました。
最後に、高校生の演舞とインタビューの動画も載せていますので、ぜひご覧ください。
吟詠(ぎんえい)
吟詠とは(高松西高校3年 橋本 真希さんに聞きました)
ー吟詠って何ですか?
吟詠は、漢詩や和歌に節(ふし)をつけて地声(じごえ)で歌います。11音の音階(おんかい)を操り、緩急(かんきゅう)をつけて奏でるメロディーは、日本人の琴線(きんせん)に触れ、感動を呼び起こす芸術性にあふれる伝統芸道(でんとうげいどう)です。
ー吟詠の見どころは?
吟詠は発声の巧みさだけでなく、詩の情景や作者の心情をどう表現するかが大事です。昔は詩の意味も分からず歌っていましたが、高校で古典や歴史を学び、表現も豊かになったと思います。皆さんもぜひ、吟詠を聞きながら、詩の世界に思いをはせて下さい。
いとこ同士で技磨く(高松西高校2年 青木 賢心(けんしん)さん × 橋本 真希さん)
ー吟詠を始めたきっかけは?
二人 小学生の時、祖母が通う吟詠教室で、堂々と歌う祖母の姿に「かっこいい」と思い始めました。
ーお互いに意識しますか?
青木 真希は力強い声で、音程を外さないからすごい。2022年度の全国吟詠コンクール四国地区大会で優勝し、全国大会に出場した実績もある。
橋本 賢心は声変わりして心配もあったけど、最近は声に味が出てきた。私は3年なので来年の「かがわ総文祭2025」には出られないけど、賢心や他のメンバーには、素晴らしい演舞をしてほしいですね。
双子でライバル(高松西高校2年 佐藤 伸彦さん× 高松西高校2年 佐藤 秀彦さん)
ー吟詠を始めたきっかけは?
二人 元々祖母が吟詠を習っており、祖母の家に泊まる時はいつも子守唄として聞いていました。いつから始めたかは覚えてなくて、物心がついた時には吟じていました。
ーお互いに意識しますか?
伸彦 秀彦の低くて味のある声はうらやましいです。これまで何でも一緒にやってきましたが、テニス以外は負けていないと思っています。
秀彦 声量は伸彦よりも自信があります。ただ、伸彦が先に師範(しはん)になった時は悔しかった。吟詠でも伸彦には負けたくないですね。
再び全国の舞台へ(善通寺第一高校2年 高橋 知里さん)
ー吟詠を始めたきっかけは?
姉が楽しそうに吟じている姿を見て、2歳からけいこを始めました。2023年度には全国吟詠コンクール四国地区大会で優勝し、全国大会に出場することができました。
ーどんなところを見て欲しいですか?
華やかな着物を身にまとい、独特な節回しで表現する古い漢詩や和歌の世界を感じてもらいたいですね。
剣舞(けんぶ)
剣舞とは(高松中央高校2年 池川 巧(たくみ)さんに聞きました)
ー剣舞って何ですか?
剣舞は、吟詠に合わせて刀や扇を持って舞います。古武道(こぶどう)の型を元にした動きが特徴で、刀の差し方や斬り方、構え方などの基本動作は、剣術や居合術(いあいじゅつ)などの刀法(とうほう)、礼法の影響を受けています。
ー剣舞の見どころは?
刀を使って優雅に舞う姿ですね。剣舞は詩の心を理解し、武道の型を芸術にまで高めるところに魅力があります。武道との所作の違いを発見するのも面白いと思います。私は他の人より体が大きいので、ダイナミックな演舞を見てもらいたいです。
ー剣舞を始めたきっかけは?
3歳上の兄の影響を受け、小学3年から始めました。二人とも刀好きで、先に剣舞を習っていた兄が、楽しそうに刀を振っている姿を見て格好いいなと。けいこで難しい型を習得していくうちに、私の方が剣舞にハマりました。
詩舞(しぶ)
詩舞とは(高松南高校2年 大場 美結(みゆう)さんに聞きました)
ー詩舞って何?
詩舞は吟詠に合わせて、扇を使って舞います。自然な人の姿と動きの美しさを基本に、情景(じょうけい)を詠(よ)んだ詩の場合は、詩の心を表現し、歴史上の人物が詠んだ詩の場合は、その人物を写実的に表します。
ー詩舞の見どころは?
日本や中国の古い物語の世界を舞で優雅に表現できるところです。扇を刀や笛に見立てたり、役柄を表す小道具として使いながら、舞で情景や詩の心を表します。総文祭をきっかけに、吟詠剣詩舞が広がればうれしいです。
ー詩舞を始めたきっかけは?
幼稚園の年中から小学5年まで続けていたクラシックバレエをやめて、新しいことに挑戦しようと考えていた時に、おばに誘われたのが詩舞でした。
扇を使った華麗な身のこなしや、詩に合わせた細かな表現など、バレエとは異なる詩舞の踊りに感動し、やってみたいと思いました。
指導者から一言
県吟剣詩舞道総連盟 副理事長 幼少青婦部長 大森 英風(えいふう)さん
生徒たちが成長する姿を見るのはとても楽しいです。総文祭では心をひとつにして、最高の舞台を目指してもらえたらと思います。
演舞・インタビュー動画
「かがわ総文祭2025」について
大会日程:令和7年7月26日(土)~31日(木)
※吟詠剣詩舞は7月27日(日)に、三木町文化交流プラザで行われます。
詳しい内容は、下のURLからご覧ください